正思、正念

 

 正思について

 

 お釈迦様が初転法輪(悟りを開かれた後の初めての説法)で、説かれたのが八正道です。八正道とは正しい道理という意味で、正見、正思、正語、正業、正命、正精進、正念、正定の事です。その内の正思、正念について記します。

 

 正思とは、さまざまな現象や事実に対して、自分の都合を差し挟まずに思慮することです。私たちは、起こる現象や事実に対して、常に自分の都合を絡めて評価しますが、事実と自分の都合や考えは無関係だと気付くことが大切です。

 先日、宝くじの話をしている人がいて、十億円が当たる確率は2000万分の1で、当たる確率は非常に低いけれども、淡い期待を持って購入して、ワクワクするのが楽しみだと語っていました。それに対して、人が癌になる確率は2分の1と言われます。宝くじの発想からすれば、当たって当たり前となるはずです。死についていえば、100%外れなしで当たります。しかし、いざ、癌を宣告され、余命数か月と言われれば、怒りや絶望を感じてしまいます。これは、頭で理解していることと、事実は無関係であるということです。

  宝くじを買ってワクワクしているのも、死について悩んでいる時も、その時々の様子であり、死についての思いと、死そのものは同じでないと気付くのが、正念です。

 

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